堺市教育大綱(案)について思うこと

11:12:00
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堺市
堺市は「堺市教育大綱」(仮称・現在案)を策定し,後日,パブリックコメントを募集するということを市HPの報道提供資料の方で発表しています。
11月26日提供 「(仮称)堺市教育大綱」(案)に対する意見を募集します(堺市HP)

また,その際の市庁定例会見において「堺市の学力を府内トップテンに引き上げたい」旨を発表したと報じられています。
「堺市の学力を府内でトップテンに」/竹山市長が記者会見で宣言(コミュニティ2525)

教育大綱案を読んで,気になった点をコメントしたいと思います。

重点方針1について

堺の歴史を強調した大綱ですが,そもそもちょっとどうかなという点があります。

まず,百舌鳥古墳群は泉北ニュータウンにも円墳とはいえ古墳があるにはありますし,そこらへんはわからなくはないです。どちらかというと泉北ニュータウン辺りになれば,須恵器とかの製造地としての方が大きいと思いますが。

中世の自治都市は,まあ,その通りなのですが,それも今の堺市全域じゃありませんよね。堺市博物館で戦国時代あたりの古地図が観覧できたはずですが,中世の自治都市としての堺は今の堺区あたりから住吉にかけての地域の範囲だったのでは?

三国ヶ丘あたりが摂津・河内・和泉の境目だったわけでしょう。何か違和感を感じずにはいられません。
ぶっちゃけた話,明治の廃藩置県で一時期設置されていた堺県はともかくとして,今から半世紀ほど前だと堺市は今よりももっと小さい自治体でした。
今の西区や南区とかは堺市とは別の自治体だったわけです。そういった点を無視しないでほしいなと思いますね。

また,戦後の高度経済成長期あたりに地方からそれなりに人口が流入してきたこともあるでしょう(特に泉北NTとかは堺以外から流入してきた人が少なくないのでは?)。それにもかかわらず,大綱案には次のような文言が書かれています。
このような悠久の歴史の中で,堺の人々には「自由の遺伝子」「挑戦の遺伝子」「匠の遺伝子」の3つの気風・精神が脈々と受け継がれています。
私の両親は地方から堺(泉北NT)に移住してきたわけですが,こういうことを書かれるとちょっとそれどうよと思うのではないかなあ。

どちらかというと,堺で育つ堺っ子として3つの気風・精神を持ってもらいたいと謳った方が良いはずです。

重点方針2について

ここが特に具体策に直結する重要な重点方針となります。

学力向上について

「学びの連続性」について言及していますが,これだけでは片手落ちです。
できる子にはさらに上を目指すことができる教育に取り組む」ことを大綱に打ち出さなければならないはずです。そこに踏み込めないんだったら,大綱としての魅力が半減するのではないでしょうかね。

先般の記者会見での「府内トップテン」という壮大な目標を考えれば,学力を向上させるためには,様々な取り組みが必要となってくるはずです。
大綱案は大まかな目標・方針を示しているだけですから,具体策はこれからより詳細に練っていかなければなりません。

その点については,「第2期未来をつくる堺教育プラン」が大綱に基づいて策定されていくでしょうが,ここをどれだけ納得できるものにしていくかが重要なポイントとなります。

私からすれば,最低でも小4からは教科専任制,5教科は習熟度別授業,教員の特性(どの学力層への指導が最も得意か)に合わせた人員配置,事務室の人員強化(教員の雑務や一部の保護者対応などの負担を軽減するために配置)は欠かせないと思います。

それと同時に,教員養成の場においても,それぞれの学力層に応じた指導方法の研究など様々な取り組みが必要でしょう。

箱物整備をさらっと打ち出すな!

体力の向上についても打ち出されていますが,さらっと無駄なハコモノ整備を打ち出さないでほしいものです。

野球場の整備というのは,以前から市が計画している原池公園の球場整備計画のことです。車以外のアクセスが悪いところに相変わらず球場を整備しようとする市の姿勢はまったくもって理解できません(白鷺公園の球場を整備し直すんならともかく……)。

原池公園の球場整備計画については,過去に取り上げたエントリが3つありますので,そちらもお読みいただければ幸いです。

  1. 野球場整備?(2014年11月27日)
  2. 原池公園野球場計画のパブリックコメントがはじまる(2014年12月24日)
  3. 原池公園球場整備計画のパブコメ結果・・・微妙だこれ(2015年2月17日)

重点方針3について

もともと問題のない人にとっては関係のないことでしょうが,保護者の質の向上について触れられていないのが残念です。保護者教育は今後の教育面を考える上で欠かせない取り組みであるはずなのですが……。

子どもの親としての自覚がないというか問題のある保護者の数は少なからずいるでしょうし,報道を見ていると昨今様々な事件が起こっており,保護者としての自覚がないんじゃないかと思わされる保護者が増加しているように思います(堺市も例外ではないでしょう)。

最低限の躾やマナー・人としての振る舞いなどは本来は学校教育ではなく,家庭教育で行われるべきこと。もちろん,共働きなどの社会の変化でなかなか難しいという方々もおられるでしょう。ですが,そこは短い時間しか取れなかったとしてもきっちりとやってほしい。

何でもかんでも学校がやってくれる」というのは大きな誤りです。

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