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昨日,大阪府立高校の前期入試の学力試験が行われました。
社会科そのものの試験はありませんでしたが,大阪府教育センター附属高等学校の学力検査の1つである情報活用力検査で社会科の知識を要する内容がありましたので,その点について述べてみたいと思います。
2015年度情報活用力検査について
題材は「水環境」に関する文章と図版を読み取り,関連する設問に答えていく,国語・理科・社会の複合問題でした。その中で,明確に社会科の範囲となるものは2の問題です(4も社会科的な知識を必要とするでしょうが,どちらかというと国語の作文の領域と言えるでしょう)。2の問題について
- 東北・関東・東海・近畿・九州地方で使用された生活用水と工業用水それぞれの合計の年度での推移を読み取り,どちらが生活用水のものかを判別する問題
- 生活用水・工業用水の合計使用量とその内訳から近畿地方のものを選ぶ問題
の2問でした。
解法
生活用水と工業用水を見分ける問題は,図3の各地方の生活用水の使用量の推移に着目すれば,すぐに判断ができるでしょう。問題は,近畿地方のものを選ぶという設問の方です。ポイントは,「生活用水の使用量は基本的にはその地方の人口と正の相関関係があるもの」に気付けるかどうかにかかっています(中学生にわかりやすい表現としては,人口と生活用水の使用量はほぼ比例していると考えられるかどうかです)。
したがって,使用量の多いEは関東地方と判断できますし,A・Bは東北など人口が少ない地域であろうということで除外していきます。あとは,C・Dの生活用水の使用量が多いか少ないかで近畿をCと判断しましょう。その後,判断した理由を文章として書き上げましょう。
気になったこと
近畿地方と東海地方を同列に出すのはちょっとどうかな? と思いました。教科書での取り扱いを考えれば,近畿地方・東海地方のそれぞれの地方区分で三重県は重複しますからね。問題の大勢に影響はないと思いますが,三重県は区分方法によって地方が重複することがあるので,地方の選定などで工夫をした方が良かったように思います。4の問題について
300字以内という字数制限があるので書けることは限られてくるでしょう。取り組みの具体例として一番手っ取り早いものは次のような感じになるでしょうか。
- 河川の掃除→河川を汚す原因となるごみを取り除くことで水質汚濁を防ぐことができる。
ここらあたりを骨として,あとは300字程度で収まる形にするための肉付けを行っていくことになるでしょう。
回答する人の年代が上がったり,専門的な知識を持ち合わせている場合は,もっといろいろな事例が出てくると思われます。
知識があれば,次のようなことも書くことはできるかもしれません。
- 自治体の許可を得て,マイクロバブル発生装置を河川に設置し,作動させる。→水中への酸素供給量を物理的に増やし,微生物による有機物の分解を促進させられるため,BODを改善させることができ,水質が改善できる。
- 自治体の許可を得て,河川でイケチョウガイを養殖する。→イケチョウガイに水中の植物プランクトンを捕食させることで水質悪化を防いだり,水質を改善させることが可能である。
ただし,これらのことは,ある程度の専門知識を持っていないと300字程度とはいえ,試験時間内に書き上げることは非常に難しいとは思います。
一応,それぞれ大阪で同じような取り組みが行われたものを参考にしていますが。
- マイクロバブルを利用した水質浄化→マイクロバブル・ナノバブル~50マイクロメートル以下の微小気泡が水の汚れを浄化し、生物を活性化する(WISDOM)
- イケチョウガイの養殖→大阪ジョウカ物語(NPO法人 大阪・水かいどう808)
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