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ペットボトルでガラス瓶並みの高級感 新素材、極めて高い外気の遮断性能(Yahoo!ニュース・引用元:SankeiBiz)
今や飲料の容器でおなじみとなったPETボトルもさらに用途を拡大しようとあれやこれやと新しい技術が投入されているようです。
用途拡大の鍵はガスバリア性能の向上にあり
PETボトルはどうしてもPET単独だとある程度,気体が透過してしまいますから,そのままだと使える製品や用途が限られます。他の製品や用途に使おうと思うと,特定の気体の透過を防ぐガスバリア性能の向上が欠かせません。特に,酸素とかですね(食品関係にとって,製品の酸化は避けたいものが多いので)。
私が学生のころは,PETボトルでガスバリア性能をという話では,PETフィルムとPETフィルムの間にPVA(ポリビニルアルコール)のフィルムを挟み込んでガスバリア性能を高めたPETボトルが使われているという話しを聞いた記憶があります(今でも,この方式のPETボトルは現役かもしれませんが)。
ただ,ガスバリア性能を高めることを考えれば,そもそも論ですが,PETよりPEN(ポリエチレンナフタレート)を使った方がもともとのガスバリア性能は高いわけで,どうしてそっちに移行しないかなと思わなくもありません(それにPENの方がPETよりよりリユースに適している物性があったと記憶しています)。
ポリエチレンナフタレート(PEN) |
もちろん,ここには初期投資や大量生産による価格を下げるとかの経済面のコスト要因も絡むので,簡単にPETからPENへ移行させられるわけはないのですが,物性だけを考えるのであればPENベースに移行した方がいいとは思いますが……。
リユース・リサイクルが考慮された製品かは私には疑問
ガスバリア性能を高めるためには,違う物質の層を形成させる方法は有用だと思いますが,果たして使用後のリユース・リサイクルの容易さを考えられている製品なのかどうかは正直な話,疑問ではあります。現状では,日本ではPETボトルとかのリユースへの取り組みは聞いた記憶がありません。もともとプラスチック類のリサイクルでは,日本はサーマルリサイクルが中心でマテリアルリサイクルがその次です(サーマルリサイクルを堂々とリサイクルを名乗らせるのもいかがなものかと思いますが……)。
本来はリユースを繰り返して駄目になってきたら,ケミカルリサイクルを行って,新しいポリマーとして再生させられればいいわけですが,日本では価格・コスト面を考えると,その実現はなかなか難しいのでしょうかね。
なお,マテリアルリサイクルの場合は洗浄や乾燥・選別などの作業を行ってから再溶融して次の製品の原材料として使用されます。
ただ,この方法は,異なる物質(夾雑物)が混ざり込んでいると夾雑物同士は混ざり合いにくい状態です(この状態を,高分子の分野では「マクロ相分離」と呼びます)。このような状態のままでは物性が劣化します。
マクロ相分離を抑える方法も無いわけではないですが,コストアップ要因になるでしょう。また,高分子は基本的に高温に弱く,再溶融の際にも物性が劣化してしまうこともあります。
将来的には,もっとグリーンケミストリーの観点を考えた製品が出てくることを期待したいところです。
グリーンケミストリーについては次の書籍が参考になるかと思います。
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