【2016年度入試】滋賀県社会科入試問題分析(一般選抜)

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滋賀県 公立高校入試
昨日は,滋賀県立高校の一般選抜入試が行われました。
昨年は,あまりの出題傾向の激変ぶりが衝撃だったのではないかと思います。

去年の激変ぶりから,今年になって揺り戻しがあったのかどうかが気になっていたのですが,京都新聞HPに早々と今年の入試問題が掲載されましたので,京都府立高校入試(中期)と同じく,滋賀県立高校の社会科入試についても分析を進めていきたいと思います。

体裁・出題傾向について

体裁について

入試 試験
体裁は,昨年同様のA4折り・8ページだと思われます。
京都新聞HPでは表紙1ページに問題6ページの7ページ構成となっていますが,印刷・製本の工程・定石を考えれば,8ページが製本・折り加工の基本単位となりますから,8ページ目が空白になっているものと推測されます。

文章記述力重視の重量級の構成は昨年と同じ

昨年から滋賀県立高校入試の社会科は,文章記述力を特に重視する方向性を強く打ち出しています。
今年の入試問題も,昨年からの記述問題重視傾向はそのままです。
配点の対象となる小問数は20小問でした(大問1の6,大問3の5は分けてカウントしています)。
  1. 文章記述問題:11小問68点(うち大問1の3は80字以上100字以内の長文記述)
  2. 用語記述問題:2小問・8点
  3. 記号選択問題:7小問・24点(うち2小問は完答)
というように,文章記述問題だけで7割弱の配点が割り振られており,社会に関して言えば,文章記述問題の成否が合否に直結する状況です。

各小問の配点から考えても○か×かだけという採点にはならないでしょうから,いかに部分点を確実に取っていくかが大切な問題だと言えるでしょう。

もちろん,上位校合格を目指す場合は,文章記述の失点は最小限に抑えなければなりません。

大問1について

工業地帯 工業地域 夜景
大問1は日本地理のみ(考えようによっては歴史含む)を扱った問題で,日本の重工業化~産業の空洞化をテーマとした問題です。

文章記述問題は複数ありますが,すべて資料3つを読み取って,解答となる文章を導き出して書き上げるスタイルでした。

難易度的には,80~100字程度の長文記述問題があったとはいえ,ほとんどが資料中にほぼ回答かそれに近い内容が書いてあるわけですので,字数はそれなりに多くても標準的な良問揃いでした。

大問2について

江戸時代 町人の様子
大問2は江戸時代のみという公立入試としては極めて短い範囲で作問されていました。
265年ある江戸時代ですから,1大問用意するぐらいの分量は問題ありませんが,1つの時代だけでの出題というのはいささか狭すぎる気はします。

基本的に,大問2は基本的に江戸時代の経済・社会史で構成されています。
武家諸法度に関しては政治史の範囲でしょうし,他の設問の選択肢中に他の時代の内容もありましたが。

昨年は,この歴史の大問で80~100字の長文記述が出題されました。今年もひょっとしたらと思ったのですが,その分担は地理の大問1に回りました。

設問4は記号選択問題の中でも点差が分かれそうな1題だったのではないでしょうか。
選択肢の誤答部分がわかりにくいので厄介な問題だったと思います。
  • ア:×「関東地方」「米づくり」→○「近畿地方」「綿作」
  • イ:×「商人や大名にも貨幣の発行権を与え,」
  • エ:×「京都」→○「江戸」
イについて少し補足しておきます。
貨幣(金貨・銀貨・銭貨)の発行は幕府の権限です。しかし,実際の各藩では,「藩札」と呼ばれる各藩独自の紙幣を流通させていた地域も少なくありませんでした(詳細は高校日本史に譲ります)。

設問6は付せんの文を誤解を招かない書き方にすべき

設問4と違った意味で厄介かもなと思ったのが,最後の6です。
設問が意図している内容や新聞発表されている模範解答自体には問題はないのですが,設問の書き方はちょっと誤解を招きかねません。

まず,中学の歴史では扱われない内容ではありますが,株仲間の組織を最初に認めたのは8代将軍の徳川吉宗です(当然,付せんには書かれていません)。
もちろん,吉宗が株仲間を認めた意図(商業の統制)と田沼意次の意図(幕府の現金収入を増やすこと)には大きな違いがあるわけですが……。

したがって,誤解を招かないようにするためには,次のように書くべきだったかなと思います
  • 株仲間の組織を奨励する。
このように書いておく方がベターだったのではないかと,私は思います。

大問3について

経済
大問3は価格の決まり方・需要と供給の関係など経済分野のみでの出題でした。政治分野・国際分野は一切触れずじまいというのはいささか寂しい気もしますが,それは横に置いておきましょう。

まず,設問1・4・5は確実に取っておきたいところです。その上で,設問2・3を取りに行って,最後に6という形で進むのが望ましいでしょう。

設問3について

この設問は,需要・供給曲線の読み取りの基本的な部分ですが,Q1・Q3の差が売れ残りの量になると気付けたかどうかにかかっていたと思います。

もしくは,「P1の価格では購入者の需要が減少する」→「需要が減少すると生産者は供給を絞ったり,価格を下げたりする」→「需要と供給が一致するP2の価格に近づく」という流れで書いても良いかと思います。

設問6について

ちょっと6は若干とっつきにくい部分があります。
特に,「商品の購入=契約」にたどり着けたかどうかが一つのポイントになったでしょうか。
  • 商品を購入する契約を結ぶのは消費者の自由であるが,契約を守る責任を伴う。
  • 商品の購入は計画的に行ったり,じっくり考えたりして判断すること。
の2点が書ければ,満点は確実でしょう。

上半分だけで部分点を取りに行くとすれば,「商品を購入する契約を結ぶのは消費者の自由であるが,契約を守る責任を伴うことを日ごろから意識すること。」とでも書いておけば,ある程度の部分点はもぎ取ることが可能ではないかと思われます。


最後に

最初の方でも述べましたが,今年も文章記述重視の重量級でした。
昨年・今年と同じ傾向で来ていますから,来年度も文章記述重視の重量級で出題されることが見込まれます

特に,80~100字までの長文記述は「歴史→地理」と来ていますから,2017年度入試は公民に回ることになるでしょうか?

記述問題の多くは,字数は多めではあるものの難易度的には標準~やや難ぐらいのものがほとんどです。

他に,現中2生の人とかは,他の文章記述問題が多い自治体(例:静岡など)の記述問題なども参考にして文章記述力強化を目指すと良いのではないでしょうか。

余談

大問1で懐かしいなと思ったのですが,私が中学生をしていた20世紀末頃の受験社会ではこういったターイエ鉄山とかターチン油田とか主要な鉱山・油田は要暗記でした。最近はそういうことも,まあ,なくなりましたね。一応は地図で何か所かは鉱産資源の区別のために目印的に覚えておく場所はありますが……。

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