【2017年度入試】大阪府立高校入試・特別選抜社会科問題分析:その2(各大問についての分析)+今後に向けて

20:48:00
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入試分析 大阪府立高校入試 特別選抜 社会科
ちょっと仕事が立て込んでいたため,更新が遅れてしまいました。
申し訳ありませんm(_ _)m

前回では体裁や配点・大まかなレベルについて述べてきました。
今回は,具体的に各大問についての大まかなコメントや明暗を分けたであろう小問についてコメントしていきたいと思います。

とはいえ,特別選抜の社会科の入試問題は難度的に基礎~標準レベルがほとんどを占める構成となっています。

各大問について

大問1について

大問1 小問集合
大問1はほとんどが1問1答レベルで全問記号選択の小問集合です。
難度はほぼ基礎レベルで,(4)が標準よりやや難ぐらいといったところになるでしょう(完全にやや難とまでは言いにくい)。
正直言えば,ここで大きく得点を落としてしまうようでは,非常に厳しいでしょう。

明暗を分ける設問は,おそらく(4)だと思います。
ある農産物の生産量上位3道県を示したグラフから,どの農産物かを当てる問題です。
日本における小麦の一大産地が北海道であることを知っていた人はスパッと一発で解答できたでしょうが,そうでない人はかなり悩んだはずです。
消去法で行くとなると,まず,イ・エを即座に削って,ア・ウで悩むことになるでしょう。

この手の設問は,各農産物の上位を押さえておく必要があります。
ア→愛知県,イ→青森県・長野県,エ→新潟県・北海道・秋田県など
ただ,キャベツまで押さえろとなると,特別選抜を受験していた大半の受験生にとっては酷だったかもしれません。

大問2について

大問2 世界地理
大問2は世界地理の問題です。
昨年の一般選抜では世界地理で痛い目を見た人も少なくなかったでしょう。
今年の特別選抜でも世界地理のここが一番厄介だったのではないかと考えられます。
難度はほぼ標準ですが,(5)②は統計資料に慣れてなければ難問だっただろうと思います。

明暗を分ける設問は,(3)・(4)と(5)②あたりでしょうか。
ここらへんで時間を喰ってしまったという人がすくなくなかったかもしれませんね。
意外に(1)・(2)で引っかかった人もいるかもしれませんが……。

(1)の赤道の場所は,定番なので目印は自分の中で付けておきたいところです。
例えば,アマゾン川河口・ギニア湾あたり,シンガポールの少し南といった数か所に着目しておけば解きやすくなるはずです。

(3)の時差は,学校のテストで出題される地点とは別地点だらけなので地味に時間を取られてしまったという人も少なくはないと思います。
時差の問題を解くときの手順は次の通りで行うと良いでしょう。
  1. 本初子午線(経度0度)を中心とする大まかな図を用意(問題用紙の余白に)。
  2. 2地点とその経度を図に書き込む。
  3. 2地点間の経度差を求め,その経度差を15で割る。
  4. 図内の基準の地点から,右(東)方向の地点の日時を求める場合は求めた時差を足し,左(西)方向の地点の場合は求めた時差を引く。
これでたいていの時差の問題は解けるはず。
今回の問題は,経度差は東経30度と東経120度ですから,120-30=90(度)となり,90÷15=6(時間)と時差が求まります。
設問では,東経30度が基準のYの日時は2月20日午後2時ですから,6時間を足して同日の午後8時となります。

時差の問題はレベルが上がると,飛行機のフライト時間を求めるという問題になりますが,その点については今回は割愛します。

(4)はYが南半球の都市であることに気付けたかどうかです(南半球は北半球と季節が逆!)。
設問の横の選択肢の3つは8月当たりに気温のピークが来ていることから,北半球だということに気付かなければなりません。

(5)②は,何の農作物であったかに気付けないと解答を導き出すのは至難だったと思います。
グラフは茶の産出国別割合を示したものです。

茶の産地は中国やインドです。
グラフの見分けの目印としては上位5か国の表示があればスリランカが最大の目印となります。
困ったことに「1位:中国→2位:インド」の組み合わせなんてものは他にもたくさんありますので……。

余談ですが,茶葉を発酵させてできるのが紅茶なわけですが,詳しい方は産地でピンとくるかもしれません。
例えば,インドの茶の有名な産地として挙げられるダージリンやアッサム,ニルギリはインドの地方,セイロンはスリランカの中心となる島の名前(セイロン島)です。

大問3について

大問3 政治・経済
大問3は公民の政治と経済に関する問題でした。
単元としては,日本国憲法,地方自治,企業に関するもので,難度はおおよそ基礎~標準レベルです。
図版を使った設問が無い点も加味すれば,レベル的にも定期テスト・実力テストと大差はないと思いますので,特にコメントをしておかないといけない設問はありません。

ただし,この大問は他大問と比べて用語解答の点数比率が圧倒的に高い点に注意が必要です。
明暗の差を分けたのは,おそらく(3)の②③の漢字・字数指定の2小問かなと思います。

大問4について

大問4は歴史の問題です。文章記述問題もあるにはありますが,基本的には頻出の方の設問かなと思います。

難度としては内容自体は標準レベルです。
この大問に関しては,漢字指定の(1)①や年代整序の考え方が必要になる設問(2)②(4)①,文章記述+完答形式の(4)②あたりが明暗の差を分けたのかな? という感じがします。

今後に向けて

今年度の一般選抜に向けて

傾向分析を活かして得点の向上を!
昨年度の一般選抜入試分析のエントリでも書きましたが,一般選抜に向けてのポイントとしては,次のようなことが言えると思います。

基本的に,一般選抜と特別選抜では,難度の差はそこそこ出てきます。
まず,大問1が3分野の小問集合かテーマを設けた分野融合問題なのかという違いが大きくありますし,各設問の難度も一般選抜の方がきつめ(もしくは時間を喰わされやすい)の設問が出てくることもあります。

また,昨年度の入試からは次のようなことは言えると思います。
今回の特別選抜でも資料活用については,次に書いてる方向のことがダイレクトに問われたものでもありました。
  • 用語解答問題:必ずしも太字指定語句が出題されるわけではないという点
  • 資料活用問題:通常は生産量1位だけが問われる農産物でも上位数か国までは要注意
  • 地名と地図:歴史のできごとであっても重要な場所は地図で要確認
一般選抜の歴史の用語解答では,教科書によっては本文脇の注釈でしか書かれていないところでも用語解答で出題されてきた点を忘れないでほしいです。
大阪府内で採択されている社会科の全教科書の共通内容であれば,たとえ太字指定で無い用語であっても,重要な用語・できごとなどに該当しているのであれば,注意して押さえておきたいですね。

昨年度の一般選抜で問われた太字指定でない用語については,かつての教科書では普通に太字指定をされて学習していたものではあるので,ちょっと今の教科書は太字指定が甘いのではないか? という感はあります。

来年度の特別選抜に向けて

特別選抜入試日程の高校を志望している人は,社会科については日ごろからしっかりと基礎~標準レベルの内容を安定して得点できるようになっておきたいところです。
ただし,地理に関しては教科書間の内容差が著しいので,ある程度内容が標準化されている新刊の参考書・問題集で実戦力を強化しておきたいところです。

基礎~標準レベルを着実に定着させることができれば,安定して8割以上の点は叩き出せるはずです。そのためにも,基礎~標準レベルの問題の繰り返しが効果的です。
中2生・新中3生の人は早め早めの復習,繰り返して記憶と定着させることをぜひとも心がけてほしいです。


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