中1・中2のチャレンジテストが実施されるも……(その1)

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先週に大阪府下の公立中学校では中1・中2生を対象とするチャレンジテストが実施されました。
これだけだったら良かったのですが……,よりによって……と呆れ果てるニュースが飛び込んできました。
両方ともニュースの保存性も考えて産経WESTさんのものを提示しています。

問題点を整理

最初の問題は教員の言葉足らずの説明か?

チェックリスト 漏れが無いかどうか?
最初に報じられた中学校に関して,産経の記事の一部を次に引用します。
中学校では昨年、2年生の担任が、テスト結果によっては内申点が下がるなどと説明。「体調不良のときはどうしたらいいのか」という生徒の質問に、「休んでもいいけれど、がんばれ」と答えたという。
まず,最初の問題点は教員の言葉足らずの説明ではないかと思います。
やはり,リーフレットとかが用意されているとはいえ,口頭での説明は極めて重要。
簡潔に説明しなければなりませんが,かといって穴があっては困るわけです。

言葉足らずの説明が伝言ゲーム的に変化

噂話 伝言ゲーム
次に,言葉足らずの説明が伝言ゲーム的に独り歩きして,内容が変わってしまったのでしょう。
本来は,府から配布されたリーフレットや学校の配布資料にちゃんと書かれているはずですから,話の中身が理解できたかどうか,誤解していることが無いかどうかは配付資料にもあたってちゃんと確認は欠かさないようにしたいものです。

もちろん,チャレンジテストの実施マニュアルは学校の先生しか持ち合わせていませんから,筆者としてはこれ以上は何とも言いようがないですけどね……。

最期に噂話に乗って大量欠席とは,これいかに?

疑惑 疑念 デマ
最期に,その伝言ゲームの噂話に乗っかかってお子さんを休ませた保護者の意識も問題だと思います。

本当の体調不良ややむを得ない忌引き関係などの家庭の都合ならやむを得ませんが,今回みたいな大量欠席となってしまうと,本当にやむなく休まざるをえなかった生徒さんに対して迷惑なことこの上ありません。

今回のような大量欠席が今後も起きるのであれば,それこそ対策として体調不良なら診断書の提出が必要だとか,悪質な場合にペナルティを科すとか,そういう性悪説ベースでの制度改正が行われる方向になっていきかねません。
正当な理由なく「体調不良」なり「家族の都合」なりで休んだ人がより厳しい制度改正への素地を作り上げていると言っても過言ではないのです。

保護者も本来はちゃんとした情報を得て,しっかりと頑張ってきーやと送り出してあげるのが本来やるべきことのはず。
世の中のものごとに対する考え方が変化していることはわかってはいますが,安易に大切なテストの機会ですら休ませてしまったというのは,ちょっと人としてどうなのかなと思うわけです。

チャレンジテストの難度について

テスト 難度 分析 例年通りなら……
今年の中1・中2のチャレンジテストは現時点では,まだ問題が公表されていませんが,難度的には例年と大差が無ければ,レベルは標準レベルのもののはずです。
というか,あまり難度差が生じないよう慎重に作問しているはずですが……。

問題が公開されれば,社会科限定で難度分析はしてみたいと思っています(過年度の分析がまだかけていない点もあるので,まとめてかたずけてしまいたいところ……)。

中1・中2のチャレンジテストは個人の内申点に影響してくるわけですが,府のリーフレット(PDFファイル)を見てもわかる通り,それぞれの評定を妥当とする範囲は過去のデータでもかなり広く取られています。ただし,テスト全体の正答率なんかも密接に関係してくるので,各評定のボーダーラインはリーフレットの掲載事例からは少々ラインが動く可能性は否定しません。

このテストで内申点が動くのは,教員がすごくえこひいきな評価(プラスマイナスを問わず)をやらかすか,相当勉強を頑張って高得点を取るか,あり得ないレベルの大失敗をやらかしたかぐらいのはず。

そもそも,チャレンジテストはこれまでの復習をちゃんとしていれば,ある程度の得点は取れるように作問されています。
ただし,中1・中2はクラブに熱を入れてる生徒さんが多いでしょうし,勉強に熱心な生徒さんも残念ながら少ないのではないかなと思います。
ちゃんと復習をしていなければ,人間は忘れる生き物ですから,復習しなかった(できなかった)分の責めは,自分自身で負うことになります。当然のことですね。

絶対評価のしくみだけでは内申点は信用しにくい

入試制度の改革の一環として内申点の付け方が相対評価から絶対評価に変わって早数年が経とうとしています。
絶対評価の制度は,教育目標の一定の基準に達しているかどうかで教員が判断することになっています。

まあ,大半の教師はちゃんとよく考えて妥当な評価を付けてくれると思うのですが,酷い教師の場合は「みんなそれぞれで頑張ってるんだから,みんな内申は5あげよう」というトンデモな投げやり級の評価を付けるなんてことも理論上はできてしまう制度です。
ただ,こういうことをやらかされると,内申点そのものが信用できなくなってしまうのはわかりますよね。

そこで,そういう行き過ぎたor投げやりな評価を是正するために,チャレンジテストが行われているわけです(要は絶対評価が基本ではあるものの府全域を対象とする相対評価の要素をちょこっと加えて補正しているのだと考えておくと良いです)。

チャレンジテストは点数に一喜一憂せず,堂々と受けよう

敵を知り,己を知る 自分の成績の分析が大事
基本的に,チャレンジテストは不当な評価されているものをあぶりだして是正するためのものなので,何も不安に思うことはなく,堂々とテストを受けるべきものです。

ちなみに,古代中国の兵法書である「孫子」には次のように記されています。
知彼知己、百戰不殆。
読み下していくと,「彼を知り己を知れば百戦あやうからず。」となります。
つまり,敵と戦うのであれば,どういう敵なのかを知り,自分の実力をわきまえている必要があるということです。

リーフレットの評定の妥当性の範囲などを見れば,内申が下がるかもという不安はたいていは杞憂に終わるはずなんですけどね……。

ちなみに,中3の外部模試の定番である五ツ木の模擬テスト会でもチャレンジテスト級の受験率はないのです(もちろん,問題の難度は五ツ木の方が上ですが)。
欠席した人は実にもったいないことをしたものです。

塾が欠席しろと言った?

ほんまに?
産経の記事には書かれていなかったのですが,朝日新聞デジタルの記事(Yahoo!ニュース)にはこれまた信じ難い記述が書かれていましたので,次に引用します。
学校が、休んだ生徒に聞き取りした結果、「塾から受けなくていいと言われた」「内申が下がることがあるから休んでいいという情報があり、休んだ」という回答もあったという。
と産経よりも一歩踏み込んだ話が書かれています。後の方の回答は産経ても述べられているので割愛しますが,前の方の「塾が受けなくていいと言った」というのはこれは非常に問題であると思います。

もちろん,生徒側が塾がそんなことを言っていないのに責任転嫁しているということもありえます。ですが,ひょっとしたら本当に塾がそんなことを言ってしまったのかもしれません(こればかりは当事者しか知らないことでしょうけど)。

まず,塾としては経営的な意味でも入塾してくれる生徒が多いに越したことはありません(定員制を取っているところは別として)。
当然,人数が欲しい塾は売りのポイントが1つでも多くほしいわけです。
例えば売りになるのは,成績の向上が目覚ましいことであったり,志望校にしっかりと合格させたりといったことですね。
チャレンジテストで塾生が好成績を叩きだせれば,塾としても絶好の売りポイントの1つになりますよ(それに内申点を上げられる可能性すらあったわけで……)。

もし,本当に塾がテストを受けなくて良いと言ったのであれば,商売人としては失格だろうなと言わざるを得ないですね。
だって,ちゃんとした塾なら,「焦らず解けばちゃんと得点できるよ」とか「しっかり頑張ってこい」とかそういう方向に持っていくでしょうし(ちゃんと実力養成に普段から取り組んでるはずですし)。

最期に

今回の欠席者について思うのは,本当の体調不良だという人はどれぐらいだったのかということです(家族の都合も本当に休まざるを得ないものだったのかどうか?)。

もちろん,本当に病気などで休まざるをえなかった人もいたでしょうが,ちょっとこの件に関しては,「体調不良」「家族の都合」と銘打って安易に休ませた家庭が多かったんじゃないのか? という疑念を持たざるを得ませんでした。

今回問題になったのは中2生という有様。あと3か月弱でほんまもんの受験生になるんですよ。そこらへんをちゃんと自覚してほしいものです。

チャレンジテストは,生徒さん自身のレベルがどれぐらいのところに居るのかを知る一つの物差しとなります。
自身の実力をわかっていれば,今後どういうところに気を付けて勉強すればよいのかとかどこに弱点を抱えていたのかとかがわかってきます。
自分自身の弱点をよく理解して早め早めに対策を打っていくことが大切です。

今回の大量欠席は次年度のチャレンジテストの制度がより厳しい方向へと変わるきっかけになるのでは? という気がしなくもありませんがどうなるでしょうか。
新年度の発表がどうなるかが気になるところです。

(追記)その2を書き上げましたので,後編もお読みいただければありがたいです。また,文章の一部を修正しました(主に改行など)。

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