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先日,大阪府立高校の入試問題の社会科を分析してみましたが,他府県の公立高校入試問題の社会科の分析も書いていこうかと考えています(多分,近畿圏だけになるとは思いますが)。
入試問題がどこかで公表されていれば,書くことはできるかなと思います。
まず,今回のエントリでは,2015年度兵庫県立高校入試の社会科を分析してみたいと思います。
大問の構成
- 地理中心(中問1:北アメリカ州,中問2:九州地方)
- 歴史(中問1:江戸時代までの歴史,中問2:明治~戦前の歴史)
- 公民中心(中問1:日本国憲法,国会・内閣・裁判所,中問2:戦後の日本の社会と経済)
というようになっています。まず,3分野で大問を区切り,その中である程度の単元のまとまりごとに中問を区切る形式は,兵庫県の例年通りの出題形式を踏襲しています。大問Ⅲの中問2については歴史との融合問題と捉えることもできます。
解答形式
39小問(うち2小問は解答1つずつに配点あり)の中で,語句・数字で答えなければならない解答はわずかに8つ。残りはすべて記号です。3年ほど前までは文章記述問題も2~3問は出されていたのですが,採点ミスの続発で相当叩かれた後,文章記述問題は社会科については全廃されてしまっています。各大問・中問の分析
今年の問題は資料が,本来の文章の枠をはみ出してしまっているのが目に付きました。体裁のことを考えて,図版表現などを工夫することも大切だと思います。例えば,帯グラフの幅を縮めたり,凡例をグラフ下に入れ込んだり,表内の文字を長体にして左右の幅を縮めたりすることも一手でしょう。Ⅰ-1
問題の難易度は概ね標準レベルでしょう。(1)の時差の問題は定番レベルです。(4)は正解は導けるでしょうけど,問題としては微妙だなと思います。(5)は今の教科書の枠組みから言えば,公民の分類になるでしょう。NAFTAは公民の教科書では各社とも書かれていますが,地理の教科書では書かれているものの方が珍しいのが現状ですし(本来は公民に回さず,地理で扱った方がいいと思いますけどね……)。Ⅰ-2
問題の難易度は概ね標準レベルでしょう。難しい問題は見当たりません。(1)は九州の地形や畜産に関する地図や資料の読み取り問題,(2)は新旧の地形図の読み取り問題でした。(2)①は定規が試験で使えるなら簡単な問題ですが,そうでないなら不親切な設問だったのではないでしょうか。定規が使えない場合は地図上で何cmかを明記しておかないといけませんね。隣の大阪府でも,新旧の地形図の比較が問われていました。そういうことも考えると,新旧地形図の比較問題は1つのトレンドなのかなと考えられなくもありません。
Ⅱ-1
問題の難易度は概ね標準レベルですが,正誤判別問題が6小問あるのでそれなりに時間を食うことになるかもしれません。文化史ベースの問題文が書かれていますが,実際の設問文・選択肢は政治史なども結構多いです。Ⅱ-2
年号を覚えておかないときつい問題が半分あるため,問題の難易度は標準~やや難レベルです。(1)は,イでの誤答率が高いかと思われます。(2)・(4)は,明治から戦前の主なできごとの年号をセットで覚えていないと苦しかったかなと思います。(3)は「ファシスト党」で誤答だと弾くことができたかどうかがポイントとなるでしょう(ファシスト党はイタリアのムッソリーニが率いた政党です)。Ⅲ-1
問題の難易度は標準レベルです。(1)~(5)までは模試を含めて典型的な問題ですが,(6)は公民の問題としては少し異色かもしれません(難易度的には標準レベルですが,選択肢の内容に癖が強いですが)。公民の正誤判別問題だと細かいひっかけが見られますので,そこにひっかかったかどうかがポイントになるでしょう。例えば「すべて」など妙に強調している語が入っている場合には注意が必要です。
(5)の「被告」「被告人」関係もひっかけポイントですが,イ・ウで「被告(人)」が微妙に被ったのは少しもったいない感がしなくもありません。
Ⅲ-2
問題の難易度は標準レベルです。この中問では,(4)の円高・円安は受験生にとっては頭がこんがらがりやすいところなので,この小問が勝負の分かれ目になった可能性があるかもしれません。(5)は丁寧に資料を読み解けば,正解できるかなと思います。最後に
兵庫県立高校入試は,とにかく記号選択問題が多いのが特色です。その点では,京都府立高校と通じるものがあるかもしれません(京都府立高校入試は体裁などでものすごく全国的にも癖が強いとは思いますけども)。あとは,歴史などで文章記述問題が出せなくなったこともあるでしょうか,正誤判別問題が多用されています。
採点ミス抑止の関係もあるでしょうが,私は文章記述問題を1題ぐらいは出題してもいいのではないかと思います。論述することを一層重視するということは学習指導要領でも求められていることです。記述問題の全廃は,やむを得ない点もあるでしょうが,指導要領に逆行してると思うんですよね。
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