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前回に引き続き,今回も大阪府立高校入試・一般選抜の各大問の分析を書いていきます。
今回は,大問2~4についての分析を書きます。
各大問についてのコメントは前回の大問1ほどの量にはなりませんのでご安心いただければと思います。
なお,大問1はものすごく時間を喰わされかねない設問があったことと概数を使うテクニックの関係で1大問で1記事としましたが,大問2以降は難度は落ち着きますし,コメントが必要な設問も少ないと感じましたので,残りの大問を今回まとめて1記事とさせていただきます。
大問2の概要
大問2はサミット(主要国首脳会議)を題材とした,地理・歴史・公民(経済・国際)の3分野融合問題でした。公民の国際分野は地理とも重複しているところがあるので,どちらと判断するのは難しいところなのですが,そこらへんは置いておきましょう。
難度的には,基礎~標準レベルの問題がほとんどで,やや難が(7)(8)ぐらいと考えてよいでしょう。
(7)はある程度代表的な農産物の統計資料を覚えていないと解けないところがありますし,(8)は3つ完答というそこそこ厳しい条件が付けられていますので。
とはいえ,大問1の(3)④程の時間がかかる問題ではないとは思いますが。
なお,この節のアイキャッチ画像については政府の伊勢志摩サミットの画像「出典:G7伊勢志摩サミット公式ホームページ」(1日目Session2)のものを縮小して使用しています。
大問3の概要
大問3は文字と文学を軸とした歴史の問題です。文字と文学にかかわることがらが中心なのですが,文化史のみに陥らずに政治史・外交史・経済史の内容を問う設問もきちんと用意されており,分野的なバランスは良かったと思います(解答形式に関しては,全体を考えればもう少し用語解答が多くともよかったのでは? とは思いますが)。
難度的には記号選択の設問が多めで難度も基礎~標準レベルがほとんどです。
文章記述問題も1小問出題されてたとはいえ,内容はド定番ですから難度は大したことはないですね。
唯一,受験生にとって意表を突かれた設問は(2)①だったはず,ここだけは難問ですね。
大問4の概要
大問4は選挙と憲法に関する会話文を基とした公民(政治)の問題でした。文章記述問題が少々面倒ではありますが,設問の難度はすべて基礎~標準レベルに収まっていますね。
大問全体としての難度は最もとっつきやすいので,筆者としてはこの大問を最初にかたずけてしまうのが一番良かったのではないかなと思っています(大問を解く順番については最後の方で詳述します)。
各小問へのコメント
この節では,気になった小問についてコメントをしていきたいと思います。大問2について
大問2については,数問取り上げたいと思います。(1)としては,問題文の地名のヒント(志摩半島・三陸海岸・若狭湾)でリアス海岸だというのはわかり切ったことなのですが,似たような地形でフィヨルド(氷河で削られたU字型の谷が水に沈んでできた地形)がありますので,混同しないようにしたいところです。
(7)は消去法を使うのもしんどかったのではないかなと思います。
まず,小麦と綿花は中国・インドで生産国別割合の1位・2位を占めるものなので,ア・エの2つを除外します。それからぶどうとバナナのどちらを除外するかということになります。
結論から言えばバナナを消す形になります。
ただし,厄介なことにバナナの生産国別割合も1位がインド,2位が中国となっています(典拠:「世界国勢図会2016/17」の227ページ)。3位以降で見分けを付けなければなりません(目印としては3位のフィリピン,5位のエクアドルです)。
ぶどうは4位のスペイン・5位のフランスが出ていればもっと楽だったんですが,なぜか4・5位を隠されてしまっていたのでこれという目印が不足していたこともあり,なかなかきつかったでしょう。
上位高を狙う人は,統計資料に関する設問は必ず出題されていますので主な農産物の統計などには漏れが無いようにしていきたいですね。
(8)は記号3つ選択の完答問題です。これもなかなか骨っぽい問題だったでしょう。
ここも概数で楽に済ませたいところです。ⓐは図ⅡのG7が65%ですから333×千億ドルのおよそ3分の2なので222×千億ドルとなります。図ⅢのG7は46%ですが50%の金額を先に計算しておくと良いです(390×千億ドル)。4%は780×千億ドルを25で割ればよいです(4/100=1/25なので)。そうしたら31.2×千億ドルとなります。
あとは,G7の方はGDPはおよそ1.5倍ぐらいの大幅増加ですが,人口はグラフではわかりにくいレベルの微増なので1人あたりGDPは増加しますね。
G7以外はGDPの総額では4倍弱の増加,人口はおよそ1.1~1.2倍ぐらいへの増加ですから,1人あたりのGDPは人口増を織り込んでも大幅増です(とはいえ,元の1人あたりGDPは微々たる金額ですが……)。
なので,1人あたりGDPの金額差はG7とG7以外で拡大しているもののG7以外の国々の方の伸び率が高いので15倍よりは縮まったという形になったということになります。
大問3について
大問3については,もうちょっと用語解答を増やしてもよかったのになとは思います。(1)②とか(3)①ぐらいは用語解答形式でも良かったのではないでしょうか?
(2)①がこの大問では一番難しかったと思います。
この手の設問に関してまとめておくと,代表的な遺跡や重要な寺社・港・都市・戦いの場所の位置は地図帳などを使って事前にしっかりとチェックしておきたいところです。
今回は稲荷山古墳の場所でしたが,この手の設問に使いやすいパターンとしては日米和親条約・日米修好通商条約で開港された港や重要な戦いの場所や各時代の政治の中心地なんかは作りやすいでしょう。
大問4について
大問4は公民のみなので,難しい問題は出せません(公民は地・歴に比べて中3の2学期以降の短期で学習する内容なので,あまり難しくはできない)。なので,コメントが必要な問題はそう多くはありません。
(2)は参政権に関する設問でした。アは社会権,イ・ウは請求権に分類されます。
(3)のイは,次の衆議院議員総選挙から465名に議員手数が変化する予定なので,ニュースで解散か? という話が出てきたら要注意です。
(6)①世代間の投票率の差を示したグラフの読み取り問題です。
ちゃんと読み解ければなんてことはない問題ですが,将来的な問題として若者が選挙に行かないと政治が変わりにくい状況は続くということを暗に示しているグラフです。
高齢者の世代は選挙の大切さをわかっている人が多く,投票にきちんと言っている人が多いですが,若年世代の10歳代はともかくとして20~30歳代あたりはなかなか選挙の大切さが理解できていない人が多いように思います(そこの意識を変えないと,高齢者有利の政策が変わりにくいまま)。
(6)②は国債発行の問題点が何なのかということを指定用語2つを使っての文章記述問題でした。
「債」の字は,基本的に「借金」の意味だということを意識しておくと良いです。
なので,借金は後で利息分を付けて返すものですから,将来の世代が公債金+利息分を負担しないといけない状況になるということです。
各大問を解く順番について
解き進め方としては個人の自由ではあるのですが,いかに時間を喰う設問向けに時間を残せるかどうかを意識した場合,推奨できる順番は次の通りになるのではないでしょうか。- 大問3or大問4→大問3or大問4の残り→大問2→大問1
大問2も(7)で悩んで時間を取られる可能性も無視できないので,私からすれば大問3か4を先に仕上げて得点をしっかりと確保しておき,後顧の憂いが無いようにしておきたいですね。
社会は最初から解かないといけない教科じゃない!
社会に関しては,時には大問1から順に解くのが最良という場合もありますが,基本的に大問1から解くというのは,あまりお奨めはできません(定期テストぐらいならいいんでしょうけど)。時間のかかる問題や解いた問題の見直しのためにいかに時間を残すのかという観点で解く順番を決めるんだということを意識してほしいと思います。
今までは問題を最初から何となく解いてきたなあ……という受験生の人は少なからずいると思いますが,そういう人こそ最初に試験問題を全体的にざっと眺めてみて,一番簡単そうな大問はどこかということを判断してそこから解いてみることを意識して行うと良いでしょう。
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