【2018年度入試】大阪府立高校入試・一般選抜社会科問題分析:その4(大問3・4について)

11:55:00
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前回は,大問2について分析してきました。
今回は,大問3・4についての分析を行いたいと思います。
気になった設問は,さらっと解説してみます。

前回に引き続き,今回も長くなるかもしれませんが,よろしくお付き合いください。

大問3について

大問3 歴史にみられる国際関係
大問3は,「歴史にみられる国際関係」をテーマにした問題です。ほとんどの問題が歴史分野となります。(4)だけは,現在の国境を使って白地図から国名を問う問題だったため,当サイトでは地理分野の設問と見なしました(設問文から考えれば歴史となるでしょう)。

難度としては,概ね基礎~標準レベルですが,意表を突かれた設問が少しあったというところでしょう。
他の大問で時間を取らされる設問がありますから,ここをいかに効率的に解けたかどうかは社会の得点状況に大きく影響したのではないか? と考えています。
ただし,受験生の意表を突く形になったと思われる設問が2小問ほどありましたので,そこらへんをどう対処できたかもポイントとなるでしょう(後回しにするか,あえて切ってしまうか)。

各小問についてのコメント

(1),(2)①,(4)②,(5)①②(b),(6)①②あたりは確実に正解しておきたい設問です。
ここらは知識的にも基礎~標準レベルなので,受験校のレベルによってはここらへんを落としてしまうようでは,かなり厳しい戦いを強いられたでしょう。

(2)②,(6)③は近年の大阪府立高校入試では定番の年代整序問題です。主なできごとの前後関係は確実に固めておきたいところです。それさえできていれば,時間はそうかけることなく解くことができたでしょう。
(2)②は,御成敗式目が1232年,弘安の役が1281年,承久の乱が1221年となります。
(6)③は,江華島事件が1875年,日露戦争が1904年~,ノルマントン号事件が1886年となります。
(2)②の方は代表的なできごとが中心だったので,比較的解き易かったとは思いますが,(6)③はちょっと難しめでした。それでものいずれかまでは絞り込めないといけません。

私から見て曲者だと感じた設問は, (4)①と(5)②(a)の2小問でした。
まず,(4)①ですが,南蛮貿易と書かれた時点でスペイン・ポルトガルの2か国が連想できないといけませんが,白地図で現代の国境から国名を答えるという形式で「えっ?!」とこんがらがってリズムを崩された受験生は少なからずいたかと思います。
普段から地図を見慣れている受験生からしたらなんてことはない設問だったはずですけど。

続いて,(5)②(a)は意表を突かれた受験生が多かったでしょう。
私からしても,ロシアのラクスマン(ラックスマン) を出してくるとは……というのが正直な感想でした。こればかりは学習内容的に手薄になっていてもしょうがないなというところでしょう。
ただ,これを出すぐらいならもっと他に出せることがあったでしょ? とは思いました。
普通ならモリソン号事件を題材にして,異国船打払令(外国船打払令)を出す方が筋としては良いのではないかなとは思いました。

もちろん,府立高校入試は府内で採択されている教科書の共通内容から出題されるという点から考えれば,たしかに出題されてもおかしくはないのです(全社とも地図付きで書かれていたり,太字キャプションになっていたりしましたので)。
それだけでなく,大阪府立高校入試の社会科では,近年でも教科書各社で書かれてはいるものの全然太字指定になっていない語句が用語解答で出題されたこともありましたから,そこらへんの過去の事情を加味すれば,出てもおかしくはないということは言えます。

ただ,今年のラクスマンに関しては,作問経験のある身としては「何でそれを出すかなあ?」というのが正直な感想でした。

大問4について

大問4 国際連合
大問4は,「国際連合」をテーマとした大問で,主に公民の国際分野を題材とし,公民の政治・経済や歴史を融合させていました。

大阪府立高校入試では,公民の国際分野はどうしても最後の最後で学習するため,入試にはあまり出題されません(特に,特別選抜は実施時期が早いのでなおさら)。
とはいえ,出題されるときは今年のように割と固め打ちで出題されやすい点が厄介です。
ですが,肝心の難度は,ほぼ基礎~標準レベルです。文章記述の設問もありましたが,レベルとしては基礎~標準レベルでしかありませんので,国際分野の復習さえきちんとできていれば,得点は取りやすかったはずです。

上位校志望ならここはパーフェクトを狙っていくべき大問だったでしょう。

各小問について

ここからは,大問4の中で気になった設問についてコメントしていきたいと思います。
大問4は統計の読み取りなど少々面倒な設問もありますが,内容・レベル的にできる限り完答を目指したいところです。他の大問の設問でリズムを崩されたり,難問が潜んでいたりという状況はあれど,ここを確実に得点源としないといけないでしょう。

(1)①は,日本国憲法の条文の空所補充問題です。大阪府立高校入試としてはこの手の設問は久々かな? という感があります。定期テストとしてはある種の鉄板クラスの問題なので,さほど苦労はしなかったでしょう。条文を覚えていない場合でも 「差別されない」→「平等権」→「法の下の(に)平等」と連想できていけば解けるでしょう。

(2)は,国連加盟と同じ年のできごとを選ぶという設問です。日本の国連加盟の前段階としてソ連と国交を正常化して,ソ連から国連加盟の賛成を取り付けないといけなかったということをつかめていたかどうかがポイントです。
  • 1956年:日ソ共同宣言→日本が国際連合に加盟
ここを押さえていればなんてことは無かったはず。

(3)は,為替相場に関する完答問題でした。円高・円安を考える時は相手の通貨を基準とすることが基本となります。後は,シーソーのように考えると楽でしょう。
次の節でちょろっと解説します。

為替相場について

円高・円安を考える場合,大切なことは次のことです。
  1. 通貨の基準は相手国の通貨で考えること
  2. その基準となる通貨に対して円の価値が高くなるか安くなるか
文字だけで書いてもわかりにくいですから,図を使って解説してみたいと思います。
為替相場を考える時は,基本的に上皿天びんをイメージすることが大切です。

まず,今回の設問(3)では,アメリカのドルと円の基準となるタイミングが書かれています。
設問文からわかることは「1ドル=150円」を基準にしているということです(現実には,この相場が基準なんてありえないのですけどね……)。

括弧内の感想はさておき,「1ドル=150円」が基準なので,天びんでつり合いが取れている状況だと考えてみましょう。
すると,次の図のようなイメージになりますよね。

為替相場 円・ドルの基準を想定
「1ドル=150円」(つり合いが取れている場合)

次に,設問文から”「1ドル=100円」になった場合“と書かれていますから,150円が100円になっています。天びんで言うと50円分軽くなったわけですよね。
となるので,「ドルに対して円が高くなる」という次の図のような状況になります。

基準の状況から円高になった場合
「1ドル=150円」から「1ドル100円」になった場合

この状況を円高と言います(正確には「円高ドル安」ないしは「ドル安円高」なのですが……)。
また,この状況は「円のドルに対する価値が上がった」ことも意味します。

逆に,「1ドル=200円」になった場合は,天びんで言うと50円分重くなります。
天びんの図に表してみれば,次のような状況になります。

基準の状況から円安になった状況
「1ドル=150円」から「1ドル200円」になった場合

この状況を「円安」(正確には「円安ドル高」ないしは「ドル高円安」)と言います。
また,この状況は「円のドルに対する価値が下がった」ことも意味します。

円高・円安のメリット・デメリット

円高・円安はそれぞれメリット・デメリットがあります。
それをざっとまとめると次のよう感じになるでしょう。
  • 円高のメリット:海外からの輸入品が価格が安くなるので,安く入手できる。
  • 円高のデメリット: 海外への輸出品の現地価格が高くなり,売れにくくなる。
  • 円安のメリット:海外への輸出品の現地価格が安くなり,売れやすくなる。
  • 円安のデメリット:海外からの輸入品の価格が高くなるので,購買意欲が落ちる。
といったところでしょう。

民主党政権時はかなりの円高になりましたので,自民党の安倍内閣に戻ってからはいわゆる「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を行って円安方向に誘導した形になります(そもそも民主党が総選挙で惨敗した段階で一気に円安方向に為替相場が動いたのも事実ですけど,それは総選挙の公約で「アベノミクス」を前面に押し出したのもありますからね)。
一応,日本でも製品輸入が増えてきているとはいえ,資源に乏しい日本で外貨を稼ぐ基本は加工貿易が第一選択となるのはやむを得ません(近年では観光業とかもありますが,観光業で稼げる場所はまだまだ限られているでしょう)。


余談として書くと,パソコンのパーツの大半は海外からの輸入なので,円安状況ではなかなか値が下がらないのが困りものです(それ以外にも,仮想通貨のマイニングだ,海外でのメモリの需要の増加だの,メモリ工場の火災の影響だのと価格が下がらない要因は多々ありますが……)。

他にも,コストコとかでの買い物の時も,輸入物に関しては円安状況だと価格が上がりますし,円高だと価格が下がっていきますので,日本国内で過ごす場合は輸入物に関しては,為替相場の影響を受けやすいですね。
こういう点にも注意を払っていければ,さらに社会科的な視野が広がっていくのではないかなと思います。

最後に

ちょっと時間がかかりましたが,今回で2018年度の大阪府立高校入試の各大問分析は終了となります。
次からは2019年度入試に向けての展望などを行っていきたいと思います。

とはいえ,2019年度入試の展望の前にいくつか書きたい記事を書いたり,サイトのテンプレートをAMPベースのものにガラッと変えるかもしれませんが……。

余談

サイトのテンプレートもAMPベースのテンプレートに変えたいし,やりたいことがあり過ぎるのに時間が全然足りません……orz


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