堺市バリアフリー基本構想の疑問点

今度，堺市がパブリックコメントで堺市バリアフリー基本構想の意見を募集する予定であることが，市の報道発表資料の項目に供されていました。

11月9日提供　堺市バリアフリー基本構想（案）に対する意見を募集します（堺市HP）

重点的な整備対象地域は，栂・美木多駅周辺と津久野駅周辺とのこと。

その理由として，栂・美木多駅は官公署（区役所・栂文化会館・南堺警察署），泉北高等支援学校，近大堺病院といった高齢者や障碍者に利用する施設が多く立地していること，そして津久野駅は堺市立総合医療センターが開院しており，高齢者や障碍者の利用も増えるだろうとの見込みからとのこと。

この見込み自体は間違ってはいません。しかし，ちょっとなんだかなあという点も少なからずあります。

栂・美木多駅周辺については要再考の点や疑問点が大いにあり

近大堺病院は移転・閉院を控えているのに？

まず，再考の点として，近大堺病院は平成35年（予定）泉ヶ丘（三原台）の方へ移転・閉院となります。その点で，もう移転・閉院が決まっている近大堺病院にこれ以上手をかけるのは費用対効果的にどうなのかなあ？　と思うのですが……。

目標時期は計画では平成32年となっていますが，もし，平成32年に駆け込みで目標を達成した場合，最短で3年しか意味がないかもしれないわけで……。

何やかんや言っても，近大堺病院は大学附属病院ですから，すでに施設内の最低限のバリアフリー化は済ませているような気もします。
その場合は，杞憂で済むわけですが，パブリックコメントでは移転・を控えている近大堺病院に対するツッコミはそこそこあるものと思われます。

駅前の疑問点

駅前広場のベンチ設置は，現在のベンチを置き換えるということでしょうかね？
すでにベンチ自体はあるわけですから，現状維持なんてこともなくはないでしょうけど，それだったら計画に書く意味はないわけですよね。

ガーデンシティ栂，泉北栂郵便局，ダイエー栂店については，建物全体が老朽化していますから，建て替えた方が根本的な解決につながるということでしょう。
一応，ガーデンシティ栂にエレベーターがあるとはいえ，あれも毎年定期点検を行っているとはいえあのエレベーター自体が年代物ですし，ダイエーにあるエレベーターは本来，集荷用で高齢者や身体障碍者が係員に連れて行ってもらってという形で利便性は低いですし。

栂あたりの道路ももともとの勾配が結構ある場所もありますから，横断勾配の改良といっても結構大変なんじゃないでしょうかね。

官公署について

栂文化会館というか図書館の方については，この計画が進むことで次の要望が解消されることになるでしょう。
栂文化会館の2階の障害者用トイレを使いやすくしてください（市民の声Q&A）

栂地域について

栂地域の整備については，泉北ニュータウンの再生計画に基づいた総合的なビジョンに基づいた再整備がなされなければなりません。

御池台5丁あたりのクリーンセンター跡地や廃止予定の府営住宅の土地の次の用途をどうするのか，駅前だけのバリアフリーに目を向けるのでは片手落ちというものです。

今後の長期的な再生ビジョンを早急に策定し，そのビジョンに基づいた再生計画の実施を求めたいですね。
個別の計画を策定してそれぞれで予算を逐次投入するのも，やらないよりはいいのですが，戦略的には愚策になってしまう場合も少なくはないでしょう。

そういう観点からも，まず，泉ヶ丘地域のように栂地域の再生ビジョンという大計画を策定し，そのビジョンに基づいた個別の施策を立案して実施していく形にしないと，どういう形でニュータウン（というか栂地域）の再生は見えてこないのではないでしょうか。

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