2016年度大阪府立高校入試・特別選抜社会科問題分析:その2(各大問ごとの分析)

16:12:00
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入試問題 分析
前回のエントリに引き続き,今年の社会科の特別選抜の入試問題を分析していきたいと思います。

今回は,各大問ごとの分析をしてみたいと思います。
それでは,各大問についてコメントをしていきたいと思います。

大問1について

まず,大問1は,社会科の3分野の基礎知識(1問1答レベル)を4択で確認する問題です。
できれば,ここでの失点は確実に防いでおきたい小問だらけです。
ミスするにしても,何とか1~2小問ぐらいで留めておきたいところ。

ミスする可能性があるとすれば,21世紀が何年から何年なのかを問うた(6)あたりでしょう。
世紀に関する問題は,歴史学習の初歩の初歩なので,ついつい意識から抜けがちなところになってしまいますので,ある意味,受験生の盲点ではあったでしょう。

(4)は選択肢次第で正答率がガクンと下がる可能性がある問題でした。
(4)は,「ぶどう」以外に「もも」の選択肢があると厄介な問題だったでしょう(とはいえ,そのひっかけすらもある意味で頻出なのですが……)。
幸い,ひっかけの選択肢が無かったのでミスは避けたいところです。

(7)も若干ひっかけっぽい感じがありますが,桓武天皇が最初に遷都した長岡京は784年のことですから,これは選んではいけません。「なくよ うぐいす 平安京」なんて語呂合わせの鉄板ですから,ここも落としたくはありません。

(9)は,選択肢にスイスで宗教改革を主導した「カルヴァン(カルバン)」が居なかった点が幸いでした。

大問2について

大問2は平安時代末期~戦前の歴史の基礎~標準的内容を問うものが中心です。
年代とできごとと人物を関連させて勉強していた人にとっては,おおよそ楽勝な問題だったでしょう。
できごとの年代・前後関係を意識していないとしんどいかなという問題が2小問ありました。

ほとんどの問題は基本的な問い方なのですが,(5)はちょっと戸惑った受験生も少なくはなかったかもしれません。

出題側の性分としては,普通なら『蒙古襲来絵巻』の画像を使うのなら「てつはう(火薬)」「毒矢」とかに着目させたくなるはずなのですが,あえて年代判別だけなのかという点はちょっと驚きです(折角の画像使用なのに,ちょっともったいない感が……)。

高校にもよりますが,(5)~(7)の年代整序・年代判別問題が解けたかどうかが無視できない点差を生むポイントになったのかな? という感じです。

歴史を学ぶときは,できごとの前後関係,もしくは因果関係をよく意識して学ぶことが大切です。

なお,現中1・2生で歴史が苦手なんだという人は,過去に書いた次のエントリをお読みいただき,参考にしていただければと思います。

中学受験とか高校受験に向けての歴史分野の基礎作り

大問3について

大問3は,正距方位図法の読み取り問題,地中海性気候,貿易統計の読み取りの問題でした。この大問では(4)・(5)が点差が付けられるかどうかの分かれ目になったのではないかと思います。

大問3では(1)~(3)は必ず全問正解したい小問でした。
教育出版だったかの地理の教科書あたりは,正距方位図法の紹介の仕方が微妙なのですが,正距方位図法の読図自体は難しくありません。

(4)は,世界の気候区分をしっかりと把握しているかどうかが肝です。気候帯の区分(6気候帯),主だった気候と雨温図の特色(地中海性気候・西岸海洋性気候・砂漠気候・ステップ気候など)も確実に把握しておきたかったところです。
地中海性気候は,冬にわずかに雨が降りますが,夏が高温になればなるほど雨が降らなくなる気候を示します。
アは赤道直下の熱帯雨林気候,イは気温の推移から南半球の都市,エはも気温の推移から冷帯気候に属している都市の雨温図かなと思われます。

(5)が唯一の文章記述問題でした。この設問は単純に割合の数値だけ見ればよいという問題ではありませんでした。輸出割合については単純に図Ⅰの見たままを書けばいいのですが,輸出額については輸出総額と割合の数値を用いた計算が必要です。
おそらく,この小問だけで時間をかなり食われた人が少なくなかったのではないでしょうか?

大問4について

大問4は,公民の政治からは基本的人権(国民の義務)最高裁判所内閣の権限を問い,経済分野からは社会保障制度企業と消費者企業と労働者について問われました。

難度的には,中学校での定期テスト・実力テストあたりと大差はなかったのではないでしょうか

(1)は人権・義務の基本的問題ですので,全問正解を狙いたいところですが,②で日本国憲法第25条第1項の空所補充が出題されました。
生存権の基本条文なので,難易度的には大したことはなかったでしょうけども,条文の空所補充とは随分と久しぶりな気がします。

(2)も基本レベルですから全問正解を狙いたい設問です。

(3)も①は正解を狙いたいところですが,②の年齢までは覚えきれていなかった人は少なくなかったかもしれません。

(4)も正解を狙いたい問題です。
b・cはそれぞれ漢字指定なのがちょっと厄介でしたが,bは「公正取引委員会」を見れば即座に「独占禁止法」が連想できるはず(問題はそこから漢字で書けたかどうかではありますが……)。
cはそれ以上に問題文中に答えのパーツが堂々と潜んでいた状況でしたので,書けなきゃむしろもったいなかったのではないかなと思います。

全体的に

特別選抜の社会科は,全般的に解きやすい問題が主流でした。
難度的にも簡単だったと思われますから,平均点は学校にもよりますが,かなり高めになってくるかもしれません。

一般選抜に向けてのコメントは,次のエントリに記したいと思います。
それでは,このエントリはここでお開きとさせていただきます。

2016年3月2日追記

その3が書きあがりました。よろしければ,ご覧下さいませ。

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