【2016年度入試】大阪府立高校入試・一般選抜社会科問題分析:その4(大問3・4について)+2017年度入試に向けての考察

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大阪府立高校 社会科 入試問題分析
今回は,3月10日に実施された大阪府立高校入試の一般選抜の社会科の分析の4回目です。
大問3が世界地理,大問4が歴史とこれまでの推移を考えると,大問の単元の並びが変わるなどの変化がありました。

大問3は,解答用紙だけを見ると簡単そうに思えたかもしれませんが,地味に時間を取られる曲者の設問が結構ありました。
大問4は,文章記述が1題ありますが,難易度的には大したことはないでしょう。

それでは,大問3と大問4の中で,筆者が気になった問題について取り上げてみたいと思います。

また,今回で一般選抜の分析も一通り終了となりますので,2017年度入試に向けての考察も最後の方に記していますので,ご一読いただければ幸いです。

大問3について

概要

世界地図 世界地理
大問3は,アメリカ合衆国・ブラジル・モンゴル・南アフリカ共和国・フランス・オーストラリアを題材にした世界地理の問題でした。

コメント

(1)②は,頭の中で世界地図を思い浮かべることが必要な問題でした。赤道が通る大陸アフリカ大陸か南アメリカ大陸に絞り込みます。
本初子午線が通る大陸は,ユーラシア大陸かアフリカ大陸なのですが,基本的に意識にあるのはイギリスのロンドン(旧グリニッジ天文台)を通るということだけ意識していると,いきなり落とし穴にはまってしまう厄介な設問でした。

(1)③は人口密度の計算が必要な問題です。
その上で,6か国すべての人口密度を全部計算するのは,非常に手間がかかります。
この小問を,手早く解くには次のどちらかの手法を用いる必要があるでしょう。

  1. 計算でごり押す(概数で要簡略化+一部の国は最初から除外)。
  2. モンゴルかフランスを基準として,面積や人口を何倍かして別の国に近づけてみる。

1の方法は,以前に特別選抜の分析に関連する記事で書いた,細々した数字を概数にして計算をするテクニックを使って求める方法です。
人口密度は「人口密度=人口÷面積」で求められますから,人口が少なく面積が大きい国(オーストラリア・モンゴル)は人口密度が当たり前に低いわけですから,最初から計算対象から除外すれば良いのです。
2の方法は,どちらかの国を基準として人口・面積を何倍かして大小関係を判断する方法です(暗算が得意な人ならこの方法でもありですが……)。

(3)①は,米・小麦・綿花とも1位・2位は中国・インドです。
代表的な作物の生産国別・輸出国別割合の統計・グラフはよく確認しておきたいところです。

(3)②は,嫌らしい設問でした。たいていは,コーヒー豆の生産量で言うとブラジルを問うのが基本なのですが,ヒント付きとはいえ,あえてブラジルを外してベトナムを出してきました。文章でのヒントが無かったなら,これはかなりの難問だったでしょう。

(6)は,5つの気候帯の分布をよく地図でつかんでおかないと厳しかったと思います。
まず,ポイントとしては「冷帯は北半球にしか存在しない」という点に尽きるでしょう。
X大陸は熱帯で6割強を占めている点から広大な熱帯雨林がある南アメリカ大陸と判断させたかったのだと思いますが。
私からすれば,この設問は表の注釈が不足しているように感じました高山帯(高山気候)をどう扱っているかについては注釈を付けて明記すべきだったのではないでしょうか。

大問4について

概要

江戸時代の農業 唐箕 唐み
大問4は,農業と農民の暮らしについての歴史の問題でした。
文章記述問題は1小問ありますが,ド定番の問題ですので確実に取りに行きたい問題です。

コメント

(2)②⒝は,ちょっと問題の文章が語弊を招きやすいところですが,室町幕府も当初は徳政令出したがらなかったわけです。
しかし,途中から分一銭(高校日本史で学習します)という制度を設けて徳政令を出すようにしたのです。
「分一銭」という制度は,一揆の時期によっても制度の内容は異なりますが,借りた側か貸した側が幕府に一定の金額(借金額の5分の1か10分の1)を納めることで,借金の帳消しを認めたり,借金の帳消しを禁じたりした制度です。

(3)②は,かなり歴史を勉強していた受験生でないと太刀打ちできなかったかなと思います。佐渡の金山や世界遺産に登録された石見銀山ならともかく,生野と別子は受験生にとっては想定外な出題だったでしょう(一応,各教科書で紹介されているとはいえ……)。

なお,この節のアイキャッチ画像として用いている「農家耕作之図」は国立国会図書館が所蔵しているものです。

2017年度入試に向けての考察

今年の一般選抜は,難易度的には昨年よりも少し難化した感があります。
特に,用語解答・文章記述問題の増加,世界地理での煩雑な資料活用の問題,虚を突かれた感のある設問の増加が目立ちました。
文章記述問題は難問はありませんでしたので,頻出問題をよく練習し,確実な得点源にしたいところです。

来年に向けてのポイントとしては,次のようなことが言えるのではないでしょうか。
  • 用語解答問題:必ずしも太字指定語句が出題されるわけではないという点
  • 資料活用問題:通常は生産量1位だけが問われる農産物でも上位数か国までは要注意
  • 地名と地図:歴史のできごとであっても重要な場所は地図で要確認
教科書によっては,本文脇の注釈でしか書かれていない内容でも用語解答で出題されてきました。大阪府内で採択されている教科書の共通内容であれば,太字指定で無い用語であっても注意して勉強する必要性を強く示唆していると考えます。

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